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忠実に、作品に込められた想いを再現するために

理想の再生環境を実現する過程で発見した「フェイズコントロール技術」

2005年7月、特許技術として発表「フェイズコントロール技術」
SPマルチチャンネル研究グループ、通称SPマルチ研。1990年代後半、パイオニア技術部に設置されたこの研究開発プロジェクトは、「マルチチャンネルオーディオのあるべき姿」をテーマに長年にわたりさまざまな活動を推進。数多くの技術開発に貢献しました。ここでユニークだったのは、再生環境だけでなく録音・収録現場から始まるすべてのプロセスにおける検証と実践的な研究が進められていたことです。「フェイズコントロール技術」は、そのSPマルチ研の活動成果の一つとして、2005年7月にパイオニアの特許技術として発表されました。
一人の技術者の気づき。それは、やがて革新的技術へ
始まりは、「どうしてだろう…?」。一人の技術者が感じた違和感でした。等距離、同一スピーカーの理想的なミックスダウン環境を構築したはずのスタジオでそれは起きたのです。何かがおかしい。理想の環境でも、完璧な再生にならない。躍動感やリズム感、そして音にも曇りがあるのはなぜだろう。分析の結果、その原因は「低音のズレ」(時間遅れおよび位相のズレ)であることがわかりました。
では、なぜ起こるのか。それを解明し、DSPによって補正する独自の技術として開発されたのがAVアンプにおける「フェイズコントロール技術」です。
音の入口から出口まで、位相を正確に操る高度なDSP技術を確立
AVアンプで「フェイズコントロール技術」が最初に搭載されたのは、2005年8月に発表されたVSA-AX4AViとVSA-AX2AVの2機種。低音専用のLFE※1チャンネルが、LPF※2を通過する際に生じる遅れ(群遅延)を補正する技術でした。その後、2007年10月にはSC-LX90において、スピーカー内のユニット間における群遅延(位相とタイミングのズレ)を補正するとともに、接続されたすべてのスピーカー間の位相特性も同時に補正する「フルバンド・フェイズコントロール」を実現。これにより、正確な低域成分の再生に加え、スピーカーにおける全帯域(フルバンド)での正確な再生を可能にしました。さらに、2011年4月には、ソースに由来する低音のズレまでも補正することを可能にした「フェイズコントロールプラス」をVSA-921に搭載。翌年にはそれを自動化した「オートフェイズコントロールプラス」へと進化。ついに、ソフトから再生に至るすべてのプロセスで位相を正確にコントロールするAVアンプの技術を確立しました。
※1:Low Frequency Effect
※2:Low Pass Filter
独自の技術としてアドバンテージを獲得
ソース、AVアンプ、スピーカーそれぞれで低音の遅れや位相のズレが発生するごとに、音の打ち消し合いやタイミングがズレ、制作者が意図した音のイメージは失われていきます。パイオニアの「フェイズコントロール技術」は、そうしたことが起こらぬように異なる特性のスピーカーを組み合わせた場合でも、チャンネル間の位相特性を揃え、より明確な音像の定位とサラウンド感に優れた理想的な音場空間の広がりを再現することができます。
2005年7月、特許技術として発表され、2013年9月の現在に至るまで、マルチチャンネルオーディオの位相を音の入口から出口までDSPにより正確に自動制御できる技術は、このパイオニアの「フェイズコントロール技術」を除き、未だに存在しません。「フェイズコントロール技術」は、まさにパイオニアだけの独自技術としてマルチチャンネルオーディオのアドバンテージを確立した技術といえます。
  • フェイズコントロール技術を採用した製品に付与されるロゴマーク
  • LPFのディレイを求めるための近似式とディレイの調整手法を表したブロック図
  • フルバンド・フェイズコントロールによるユニット間の位相制御イメージ
  • オートフェイズコントロールプラスによるコンテンツの位相制御イメージ
  • フェイズコントロールがもたらす明確な音像の定位や音場空間の広がりイメージ
  • ドルビーデジタル(5.1chディスクリート)フォーマット誕生の意味
  • クリエーターの意図を正確に再現するためにプロスタジオの音づくりから学んだ「MCACC」
  • 理想の再生環境を実現する過程で発見した「フェイズコントロール技術」
  • アナログの限界を超えるための決断「ダイレクト エナジーHDアンプ」
  • より高度に、より簡単に。時代が求めるテクノロジーの発想「iControlAV」
  • さらなるリアルを求めて

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