スピーカー

EXシリーズ Excellenceの名を冠したパイオニアブランド最高峰モデル。

コンセプト [スタッフインタビュー]

フラッグシップの誕生への熱き想い Part1

パイオニアブランドのフラッグシップモデルスピーカーの誕生。その開発に注がれた想いやテクノロジーについて、このコーナーではプロジェクトに参加したスタッフのインタビューを紹介します。
第一回目は、現在スピーカー事業部を率いる統括責任者である西國晴のインタビューです。今回は、事業部長としての立場はもちろん、EXシリーズ開発のコアテクノロジーともなったパイオニアが誇る TAD(Technical Audio Devices)の技術、その企画開発の当初から携わったとして人物の一人として語ってもらいました。TADは1975年に開発をスタート。以来30年間にわたり、スタジオ用モニタースピーカーとしてのリファレンスを追求し続けてきたパイオニアスピーカー技術の象徴。その歴史を見守り続けてきた生粋のパイオニア人が語る、EXシリーズへの熱き想いをお聞きください。

TADへの絶対的な信頼。至高のサウンドの威信をかけて。

パイオニア70年の歴史が集約されたTAD(Technical Audio Devices)の技術。 その絶対的な信頼は、パイオニアの中でも特別な存在です。今、スピーカーづくりにおいては、その技術がすべての基本であり、よりどころです。2003年に発表された究極のホームユーススピーカー「TAD-M1」も、 まさにTADのプロフェッショナルオーディオ技術を象徴するもの。「EUROシリーズ」や「ピュアモルトシリーズ」など、個性的で多彩なラインナップもすべてはTADの卓越した技術があればこそ。 「EXシリーズ」の開発にあたってもそれは例外ではありません。特に今回、パイオニアブランドのフラッグシップとなるべきスピーカーを創り上げるにあたっては、エンジニアも日本・米国・欧州で活躍する インターナショナルなエンジニアリングチームを結成し、その至高のサウンドの威信にかけて傑作と呼べる製品に仕上げました。パイオニアのTADならではのクオリティ。そのステレオフォニックが奏でる感動をふたたび。 「EXシリーズ」は、ピュアオーディオの真価をあらためて確認していただけるスピーカーだと確信しています。

エンジニアの情熱が生んだスピーカーの傑作、「EXシリーズ」。

TAD-M1で開発された最先端の同軸トゥイーター/ミッドレンジスピーカーユニット「CSTドライバー」の優れた技術。また、新開発の画期的なエンクロージャー。「EXシリーズ」は、その隅々までパイオニアブランドのフラグシップモデルと呼ぶにふさわしいクオリティを実現しました。その再生帯域は「S-1EX」で28Hz~100kHzとかつてない広帯域の再現能力を獲得しています。しかも、その全帯域にわたる正確なサウンドドライブは、クリアで、驚くようなライブ感と繊細さに満ちた音色を奏でます。DVDオーディオやSACDなど、高品位ソースの再生において、それはまさにフォーマットの極限まで性能を引き出す正確な音像と自然な音場の拡がり。ぜひあなたも、その耳で確かめてください。このスピーカーは、私たちが求めてきた理想そのものです。

パイオニア株式会社 スピーカー事業部長 西 國晴

現在、パイオニアのスピーカー事業において、その活動全般を統括する事業部の要。スピーカーに関しては、 1975年に設立されたTAD(Technical Audio Devices)プロジェクトの企画開発のスタート当初から携わり、 パイオニアの誇るTADテクノロジー確立の礎を築き上げた一人。

フラッグシップの誕生への熱き想い Part2

スタッフインタビューの第2弾は、「EXシリーズ」開発プロジェクトにおいて、日・米・欧のエンジニアによるインターナショナルチームのコーディネーターとして重要な役割を果たした、スピーカー技術部の白川 弘之が登場。パイオニアブランドでは初の世界同一仕様によるワールドフラッグシップモデルの誕生に関し、その開発エンジニアの一人として、「EXシリーズ」が持つ意味と、その真価についても語ってもらいました。

単純で明解なコンセプトが導いた、「EXシリーズ」の完成度の高さ。

インターナショナルなエンジニアリングチームを組んで仕事をする上でやはり大変なのは、それぞれの意見を集約して一つにまとめあげることです。日本、アメリカ、ヨーロッパ、エリアによりマーケティングの主体が異なり、それを収束させるのはかなり苦労しました。
しかし、苦労しなければ良いものはできない。「EXシリーズ」は、特長をあげれば数えきれないほどありますが、敢えてあげるなら、それは優れたコンセプトに基づき、トータルなつくり込みをしっかり行ったこと。TADのユニットも、キャビネットの構造も、ネットワークの設計も、すべてにおいて妥協することなくつくり上げた点ですね。コンセプトは、「音楽をいかに楽しめるか」。それが、世界で共通する最も単純で明解な真理。国や地域による違いはありません。ソースに含まれる音を正確に、そして自然に伝えるだけのことです。リスナーが細かいことを気にせず、音楽に没頭できるサウンドを提供することがすべてなんです。
日本では、スピーカーづくりにおいては特性が重視される傾向がありますが、ヨーロッパなどでは誰もがどんなジャンルの音でも楽しめることがまず第一。 Air Studiosで行った記者発表会でも視聴会の最後はフルボリウムでロックを鳴らし、記者たちも含めてみんなで大盛り上がりでした。そういうのを体験すると、音楽のパワーをあらためて感じるとともに、音楽の楽しみ方とは本来こうあるべきだと実感させられました。

開発の最大のネックは、パーフェクトタイムアライメントの実現。

プレシジョンカーブによるパーフェクトタイムアラインメントデザインの実現。製品化の最大のネックは、これをいかにして可能にするかでした。平面を組み合わせてユニットの角度や位置を調整するというのはこれまでにもありました。しかし、それでは面の接合部分で反射が起き二次音源が発生してしまうため、我々の理想とするものはできない。デザインコンセプトを詰めていく上で、パーフェクトタイムアラインメントの考え方は非常に明解で、ある意味単純ですが、実際に造るにはこれをどうやったら実現できるのか大変苦労しました。削っていたのでは余りに手間がかかるし、精度もでない。それにMDF材表面の硬い層を削ってしまってはせっかくの強度が失われてしまう。そこで、理想の曲面を実現するために、あの分厚いバッフル板の素材を曲げるという手法を編み出しました。その複雑な工程を見ると、「EXシリーズ」は工業製品を造るというよりはむしろ工芸品やオブジェを造るという感覚の方が近いと思います。 実際に、このデザインを実現するには半年かかりましたが、本当に製品化できるのか途中かなり不安でした。しかし、このデザインコンセプトに忠実であってこそ、はじめて「EXシリーズ」のフラッグシップモデルとしての高い到達点に辿り着けたと思っています。

パイオニアだからできた、世界同一仕様のフラッグシップモデル。

「スピーカーのパイオニアとして70年にも及ぶ歴史の中で蓄積された技術。特に、TADにおいてはプロフェッショナルモニターでは世界No.1として誇れる実績が我々にはある。その技術とノウハウ、そしてスタッフがいれば、必ず世界に誇れる製品がつくれるはずだ」。これが、この「EXシリーズ」の開発プロジェクトのスタートに際し、事業部長である西が最初に言ったことです。
また、グローバルなマーケットを視野に入れ、製品を開発・供給しているオーディオメーカー(スピーカーメーカー)というのは、我々パイオニア以外には殆どありません。そうしたこともあり、我々もこれまでは日・米・欧それぞれの拠点でエリアに合わせた製品の開発と展開を行ってきました。しかし今回、敢えて世界同一仕様のリファレンスモデルを展開しようと思ったのは、すべての叡智を結集することで、これまでのパイオニアのイメージを踏襲し、さらに高いステージへと昇華できると考えたからです。
その結果、世界中のオーディエンスから絶賛されるクオリティの高い製品が完成しました。この成果は、今後の展開にもつながる我々の大きな財産です。そして、それが世界のオーディオテクノロジーのさらなる発展にも貢献できれば、一番の理想ですね。

パイオニア株式会社 スピーカー技術部 設計第2グループ マネージャー 白川 弘之

今回、EXシリーズの開発プロジェクトにおいて国内エンジニアたちのチームリーダーを務めると同時に、日・米・欧によるインターナショナルなエンジニアリングチームをまとめるコーディネーターとして活躍。パイオニアブランドとして、これまでにない世界同一仕様によるワールドフラッグシップモデルの開発という一大プロジェクトを成功に導いた技術開発部門のキーパーソン。